【鹿の湯】鹿が見つけた?1300年の歴史ある硫黄泉
今年もあっという間に12月。
いよいよ年の瀬が迫ってきて、那須の山々もすっかり雪化粧が始まりました。
これからますます寒さが厳しくなってくる季節…心も体もほっこり温めてくれる温泉が恋しくなりますね。
今回ご紹介するのは、那須ガーデンアウトレットから車で約30分、那須湯本にある「鹿の湯」。
約1300年前に開湯された鹿の湯は、栃木県内では最古の温泉です。
松尾芭蕉が立ち寄ったことでも知られ、昔から湯治場として親しまれてきました。
那須温泉を求めて今も多くの人が全国から訪れる、ここ鹿の湯の魅力を余すことなくお伝えしていきます!
鹿が見つけた栃木最古の温泉?
まだ温泉が開かれる前、那須温泉の発見は西暦630年代。
この那須温泉発見のエピソードが、「鹿の湯」という名前の由来となっています。
時は7世紀前半、三十四代舒明(じょめい)天皇の時代。
那須山麓の茗荷沢(みょうがざわ)の住人だった、狩野三郎行広(かりのさぶろうゆきひろ)という者が山狩りに出た時、大きな白鹿にあい、射損じて傷つけてしまいます。
その鹿を追って山奥に行ってみると、傷を負った白鹿が、湧き出る温泉に浸かって傷を癒しているのを見つけたのです。
その後温泉が開かれ、このいわれにちなんで「鹿の湯」と名付けられました。
この那須温泉は、栃木県内では最古の温泉で、全国でも32番目に古いと言われています。
西暦738の記録である正倉院文書「駿河國正税帳」の条に、「※小野牛養朝臣(おののうしかいあそん)が病気療養のため奈良から那須温泉に向かった」という記述が残されており、奈良時代の頃には那須温泉が全国的に広く知れ渡っていたことが分かります。
※小野牛養朝臣…奈良時代の貴族。小野妹子の孫にあたる。
趣ある館内へ…
建物は、明治大正時代に建てられ、そのままの姿を現在まで残しているのだそう。
まるでタイムスリップしてきたかのような館内は、ノスタルジックで、どこか懐かしさを感じます。
受付で入浴券を購入したら、無料で貸し出している砂時計を借りるのがおすすめです。
砂時計は入浴の際に使うので、お楽しみに…!
硫黄の香り漂い、木の温もりを感じる館内。
歴史ある建物ですが、清掃やメンテナンスが行き届いていて、リラックスできる空間です。
コインロッカーが廊下に設置されているので、貴重品などはこちらに預けることができます。
窓から差し込む心地よい日差しを浴びながら、廊下の突き当たりにある暖簾をくぐって、いよいよ浴場へ!
乳白色の硫黄泉!
扉を開けた瞬間、脱衣所と温泉が繋がっているのにびっくり!
ほかほかの蒸気と硫黄の香りに包まれ…風情を感じる浴場と、乳白色の温泉が目の前に現れました!
湯船から一段上がったスペースが脱衣所になっているので、そこで着替えなどを済ませましょう。
まずはかぶり湯200回?
「かぶり湯」とは、全国的でも数少ない温泉効果を高める入浴方法で、のぼせ・吐き気の防止、頭痛・肩こり・首こりにも効果があるそう。
やり方は、大人は約200回、子どもは約100回、頭から柄杓でお湯をかぶります。
硫黄泉は目に染みるので、目にお湯が入らないように注意しましょう。
よくあるかけ湯ものぼせ防止などの目的があります。
かけ湯は主に肩から下にお湯をかける方がほとんどだと思いますが、かぶり湯は頭からお湯をかけていくという方法です。
温泉の効果を高めたいという方は、ぜひやってみてくださいね!
好きな温度を選べる温泉
それではいよいよお湯に入ってみましょう!
女性は、41℃、42℃、42.5℃、44℃、46℃、男性は、41℃、42℃、43℃、44℃、46℃、48℃のお湯の中から、好きな温度を選んで入浴します。
また、ここ鹿の湯で最も効果のあると言われている入浴方は、短熱浴と言われる方法。
「短熱浴?」初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?
どんな入浴法かというと、「腰まで1分、胸まで1分、首まで1分」このサイクルを1回の入浴で5回繰り返すというもの。
1回の入浴の目安は15分程度で、入浴回数は多くても1日4回までが目安となるそうです。
1回の入浴で何度も出入りしたり、柄杓でお湯を体にかけたりすることは逆に害になってしまうとのことなので、注意しましょう。
それでは、まずは41℃のお湯から入ってみることにします!
41℃
ゆっくりお湯の中へ…まずは腰まで浸かります。
ここで最初に受付で借りた砂時計の出番!簡単に1分間を測ることができるんです。
腰、胸、首と徐々にお湯に浸かることで、ゆっくり体が温まってのぼせにくくなるような感じがしました。
冷えていた足先や手先などもぽかぽかしてきます…
41℃でも最初は熱めに感じましたが、浸かっているうちに心地良く感じるように。
非日常を感じる浴場で、さっぱりとして柔らかなお湯に包まれながら、全身が癒されていくのが分かります。
42℃
続いて、42℃の湯船へ。
41℃よりは少しだけ熱いかな?と思いましたが、すんなりとお湯の中へ。
42℃の湯船では、じんわりと汗をかくくらいに、体の芯まで温まるのを感じました。
硫黄の香りが心地良く、そして、なんとなくお肌がもちっとしてきたような…
42.5℃
42.5℃は、階段を降りた先の大きい浴槽です。
この湯船は窓に囲まれているので、窓から差し込む光に反射して、水面がとても美しく輝きます。
広々とした浴槽もとても気持ち良く、思わず長湯してしまいそう…
44℃
44℃のお湯に浸かってみたところ、足を入れたところで、熱くて少し痛い…!という感覚があったので、無理せず、42℃の湯船に浸かることにしました。
自分の体に合った温度に入ることが大切とのことですので、心地良いと思う温度を探してみてくださいね
石鹸は使用できないため注意!
ここ鹿の湯は、石鹸の使用が禁止となっているため、ボディーソープやシャンプーを使うことができません。
硫黄泉のため石鹸やシャンプーが泡立ちにくく、それにより浴場内が滑りやすくなる危険性があるためだそうです。
化粧落としも使うことができないので、お化粧を落としたい場合には、拭き取りクレンジングなどをお使いいただくと良いかと思います。
また、ドライヤーもないため、髪の毛が長く乾きにくい方は、髪を濡らさないようにお気を付けください。
どうしても頭や体を洗いたいという方は、鹿の湯と同じ源泉から温泉を引いている「小鹿の湯」という温泉では、石鹸を使うことができますので、行ってみてくださいね!
時間が経っても体がぽかぽか
温泉を出て、数時間経っても体が全く冷えず、ぽかぽか!
お風呂から出た後も、体に硫黄の匂いが残って、温泉の名残をしばらく味わうことができます。
そして、効能の高い温泉に入ると体力も使うのか、夕方ごろから眠気くなってきて、夜はぐっすりと眠ることができました。
他にも、慢性的な皮膚炎や、婦人病、糖尿病、高潔越症、動脈硬化症などにも効果があるのだそうですよ!
「鹿の湯」から湯分けした足湯
鹿の湯のすぐ近くに、「こんばいろの湯」という足湯もあります。
“こんばいろ”とは、那須地方で“カタクリの花”を意味する言葉。
春になると、この辺一帯で、紫色の可憐なカタクリの花が咲くことからこの名前が付けられたと言われています。
鹿の湯周辺には、殺生石や温泉神社など、見どころがたくさんありますので、ぜひ合わせてお立ち寄りくださいね!
素敵な那須の旅になることをお祈りしています。
施設情報
・営業時間 8:00~18:00(最終受付 17:30)
・休館日 無休(不定期でメンテナンスのためお休みすることがあります)
・駐車場 50台
・入館料
大人500円、小人300円
・ロッカー利用料
大型200円、小型100円
・記念入浴タオル 400円
・住所
栃木県那須塩原市百村3536-1
※本記事の情報は施設関係者さまからご掲載の許可をいただいております。
鹿の湯
千三百年続く静寂と癒しの湯
那須温泉元湯・鹿の湯は、七世紀前半、約千三百年前の舒明(じょめい)天皇の御世に開湯されたといわれます。公式には、聖武天皇の御世である天平十年(七三八年)の正倉院文書のなかに那須温泉の記録が残されています。
江戸時代には、江戸在府の大名はしばしば那須温泉に湯治に出かけていました。 正保二年(一六四五年)に盛岡城主・阿部対馬守より将軍家に出された湯治願が残されています。これを見ても明らかなように、那須温泉は古くからの湯治場として人気を集めていました。
松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の前半に立ち寄った温泉でもあり、殺生石の近くに「いしの香や 夏草あかし 露あかし」の句碑が立っています。
建物は明治時代、玄関は大正時代に建造され、そのままの姿を受け継いでいます。 ひなびた木造建築が、時の流れを拒んだかのような佇まいで、 はるか昔の日本の原風景にタイムトリップしたかのような感覚になります。
住所 | 栃木県那須郡那須町湯本181 |
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電話番号 | 0287-76-3098 |